INSIDE GAMBAROUS<COLUMN 小林康法HC>
INSIDE GAMBAROUS COLUMN
小林康法ヘッドコーチ
信頼でつないだ一年、その先へ
プレーオフに挑む指揮官の覚悟
レギュラーシーズンを戦い抜いた徳島ガンバロウズは、いよいよプレーオフの舞台へと歩みを進める。就任1年目のヘッドコーチが振り返る今季は、“チームの成長”を実感するシーズンだった。
「最も大きな成長は“チーム力”です」。指揮官はそう言い切る。スタイルもメンバーも一新された今季、序盤はシステムの理解に追われ、迷いながらプレーする場面も少なくなかった。しかし、シーズンを重ねるごとに選手たちは自信をつけ、今では主体的にコートに立つ。「いきいきとプレーしている姿を見ることができるのは大きな変化」と、その進化に手応えを口にする。
結果として、チームは上位争いに食い込む位置まで到達した。「理想は首位でしたが、1年でここまで来られたのは大きな成果」。描いていた構想と現実のギャップは小さく、着実な積み上げを実感している。
一方で、シーズン中盤には試練も訪れた。1月中旬、主力選手の離脱を皮切りに、複数の負傷者が続出。ロスターが逼迫する中での戦いは、チームにとって大きな負担となった。「非常にタフな時期でした」と振り返る。しかし、その苦境を支えたのもまた“チーム力”だった。
「こういう時こそ、全員で戦ってきた意味がある」。指揮官が繰り返し伝えた言葉に、選手たちは応えた。誰かが欠けても、別の誰かがその役割を担う。全員でつなぎ続けた時間が、チームに揺るがぬ自信をもたらした。負傷者が復帰するとともに勢いは再び加速し、プレーオフへ向けて良い流れを取り戻した。
現在のチームを一言で表すなら何か――その問いに、指揮官は迷わず「信頼」と答える。「言い換えれば“絆”です。コート上では競い合い、コート外では支え合う。家族のような関係性が、このチームの強さを生んでいます」。勝敗を超えた結びつきこそが、今季の土台となっている。
迎えるプレーオフ。短期決戦の中で鍵を握るのはディフェンスだ。「強度と一貫性が重要。自分たちでコントロールできる部分なので、“ヒットファースト”を徹底したい」。リバウンドやポゼッションでも主導権を握り、試合の流れを引き寄せることが求められる。
レギュラーシーズンとの最大の違いは「負けたら終わり」という緊張感。その中で「試合の入り」が勝敗を分けるポイントになると強調する。「プレーオフはレギュラーシーズンの順位は全く関係ない。プレーオフだからといって特別なことはしません。これまで積み上げてきたものを信じて、やり抜くこと」。積み重ねてきた日常の延長線上に、勝利があると見据える。
そして、ホーム開催の意義は極めて大きい。「優勝するためには大きなアドバンテージ」。高い勝率を誇るホームで、ブースターの熱量とチームの集中力が重なった時、会場は唯一無二の空気に包まれる。「あの応援は、間違いなくチームの力になります」。
最後に、指揮官はブースターへこう呼びかけた。「私たちは“観ている人の心がフルフルワクワクするバスケット”を体現するチームです。そして、観るだけでなく、一緒に戦ってほしい」。
選手、スタッフ、そしてブースター。すべてが一体となった時、チームは真の力を発揮する。
“信頼”でつないできた一年。その先にある頂点へ、徳島ガンバロウズの挑戦が始まる。
